シュナーブル教授インタビュー(2014/11/21, 朝日新聞)「新規国債の発行がゼロになるドイツ」
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11月21日の朝日新聞にライプチヒ大学のグンター・シュナーブル教授(経済学)(Prof. Dr. Gunther Schnabl
のインタビュー記事が載っていました(インタビューアーは玉川透氏)。「日本は債務残高削減努力を」、「ドイツ反省 新規国債を停止」という見出しが出ており、
「日独の財政状況とGDPの推移」と「実質GDP成長率」の表でドイツと日本が比較されています。そもそもなんでこんなインタビューが載せられたかというと、
さる9月8日にドイツのショイブレ財務相(Wolfgang Schäuble)が、
「新規国債の発行がゼロになる見通しである」と述べたことに端を発しています。
このインタビュー記事の中では、赤字国債をどんどん発行して債務残高を増やし続ける日本と、次年度は赤字国債なんか出さない、
と宣言したドイツが比較されています。EU では、加盟国に債務残高を国内総生産(ドイツ語では、BIP(Bruttoinlandsprodukt))
の60%以下に抑えるように求めていますが(Art. 126 AEUV (ex-Artikel 104 EGV) | dejure.org)、
ドイツは2013年度も80%前後でこの基準をまだクリアしていません。日本は、同じ基準を計算すると200%以上になってしまうとか。
いわゆる財政健全化(つまり、国としての借金を減らすべきだという考え方)は、世界的に意識されているものですが、
近年の日本の経済政策では消費税引き上げの先送りを始めとして、近い将来に何らかの政策を打ち出す予定はないようです。
このインタビューの中でも触れられているように、ドイツではなんと憲法にあたる基本法115条 Grundgesetz, Art 115
に「新たな債務は、投資の支出を上回ってはならない」という趣旨の、いわゆる『債務ブレーキ条項』が2009年に追加されているのです。国の借金を真剣に考え、次世代に借金を残すべきではない、
という考えはかなり強く、国の借金をリアルタイムで示すサイト
Bundes Staatsschulden Uhr 2014 Aktueller Schuldenstand und Pro Kopf Staats Verschuldung Deutschland もあります。
もっとも、Wirtschaftswoche の 9月8日の記事
Schäubles rote Null: Die große Trickserei beim ausgeglichenen Bundeshaushalt | Wirtschaftswoche にあるように、よく見るとまだまだ「赤字隠し」が行われているという指摘もあります。