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ドイツにおける「2017年の言葉」は Jamaika-Aus(ジャマイカ・終わった)

ドイツにおける「2017年の言葉」は Jamaika-Aus(ジャマイカ・終わった)

12月8日にドイツ語協会(Gesellschaft für deutsche Sprache) は、「2017年の言葉」を発表しました。
恒例になった「その年の言葉」は頻度から選ばれたものではなく、選考委員会の人たちが「その年を特徴づける」言葉の中から選んだものです。
詳細は GfdS wählt »Jamaika-Aus« zum Wort des Jahres 2017 | GfdS をご覧ください。
以下では、説明文を筆者の独断で要約したものを載せています。
 今年、ドイツ語協会 (GfdS) はイメージ写真入りの説明だけでなく、
Peter Schlobinsky 教授による説明動画もアップしています(
»Wort des Jahres« – Hintergründe und Wissenswertes | GfdS)。
 2017年の言葉(第1位)は、Jamaika-Aus(ジャマイカ・終わった)でした。
ドイツの政治をドイツ語で語る時に、必須なのは政党とそれに対応した色彩名です。
ドイツでは、ドイツキリスト教民主同盟 (CDU) が黒 (schwarz)
ドイツ社会民主党 (SPD)が赤 (rot)
バイエルン・キリスト教社会同盟 (CSU)が青 (blau)
同盟90/緑の党 (B90/Grünen) が緑 (grün)
自由民主党 (FDP) が黄 (gelb)
左翼党 (Die Linke) が赤 (rot)
ドイツのための選択肢 (AfD)が青 (blau) です。
カリブ海の島国ジャマイカの国旗は、黒と緑の背景に黄色の斜め十字 (Andreaskreuz)でしたから、
同盟+緑の党+自由民主党という組み合わせを表しているように見えるため、ジャマイカ連立(Jamaika-Koalition) と呼ばれます。
今回は、この組み合わせによる連立が模索されましたがうまく行かなかったことから作られたのがこの言葉です。
ただし、選考委員会からは、Jamaika の頭文字の発音が、
ドイツ語化している(Jahr の先頭の子音と同じ発音になってきている)という指摘もありました。
 第2位は、Ehe für alle(みんなのための結婚)。
6月30日の連邦議会の決議に従い、2017年10月1日以来、同性のカップルに対する結婚の開放が有効になったことを受けて作られた言葉。
これによって、ドイツ語の Ehe という語の定義が変わることになるだろう、との予測が出ています。
 第3位は、#MeToo(ハッシュタグ付きの MeToo)。
me too は、「私も!」という英語で、ドイツ語では Ich auch. ですが、
#MeToo というハッシュタグで、何百万人もの女性が、自らの同じような性的干渉体験に関して報告しているそうです。
 第4位は、covfefe(コヴフェフェ)。
これは、トランプ大統領が、ツィートした意味不明な言葉。本人も後から説明していないところをみると、ただのミスタイプという話もあるのですが、
審査委員会は、covfefe の中に、今日の政治家のスタイルに対する象徴として<新しいメディアに支えられた情報矮小化>を見てとったようです。
 第5位は、Echokammer(エコーする部屋)。
SNS の中で特定の情報がエコーがかかったかのようにどんどん拡散されていくさまを捉える言葉。
 第6位は、Obergrenze(上限)。
CSU は、移民政策に関する議論を数ヶ月にわたって行なってきて、移民受け入れの「上限」として「一年につき最大20万人」
の難民を受け入れる案を主張してきたのですが、最終的には、CDUと妥協をし、多少のこの上限をフレキシブルに捉えてよいことにしました。
あの「上限」って何だったの、という印象が残っています。
 第7位は、Diesel-Gipfel(ディーゼル頂上会談)。
こちらは、大気汚染の原因となっていると言われるディーゼル車の規制を扱った会談のこと。
 第8位は、Videobeweis(ヴィデオ証拠)。
日本では、「ビデオ判定」と呼ばれることが多いと思いますが、サッカーの世界でもついにヴィデオ証拠が導入されたという話。
 第9位は、»Denkmal der Schande«(「恥の記念碑」)。
AfD のビヨン・ヘッケ(Björn Höcke)氏が2017年1月に、ベルリンのホロコースト記念碑を見て発した言葉。
右寄りのポピュリズム政治家の言動に含まれる危険性を指摘していて、引用符に入っているのは批判的に捉えていることを明示しています。
 第10位は、hyggelig(ヒュゲリヒ)。
デンマーク語からの借用語で、スカンジナビアの生活様式と関係しているそうです。ドイツ語としては、gemütlich, nett のような意味とか。
デンマーク語では、 [ˈhygəli] と発音するようです。
  日本では、新語・流行語大賞 2017| 「現代用語の基礎知識」選 で、「インスタ映え」や「忖度」などが選ばれていました。
さて、あなたにとっての今年の言葉は何だったでしょうか?

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