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ドイツにおける「2018年の言葉」は Heißzeit(暑期)

ドイツにおける「2018年の言葉」は Heißzeit(暑期)

12月14日にドイツ語協会(Gesellschaft für deutsche Sprache) は、「2018年の言葉」を発表しました。
恒例になった「その年の言葉」は頻度から選ばれたものではなく、選考委員会の人たちが「その年を特徴づける」言葉の中から選んだものです。
詳細は GfdS wählt »Heißzeit« zum Wort des Jahres 2018 | GfdS をご覧ください。
以下は、説明文を筆者の独断で要約したものです。
 ドイツ語協会 (GfdS) のホームページには、イメージ写真、あるいはイラストが入った説明があります。
 2018年の言葉(第1位)は、Heißzeit(暑期)でした。
この一年を振り返ると、文字通り「4月から11月まで続いた極端な夏」があり、暑い期間であったと言えます。雨が降らないことで農作物にも多大な被害がでましたが、
気候変動(Klimawandel)の結果、世界規模の温暖化が深刻化していると言えます。
この語は、明らかに「氷河期」(Eiszeit)を意識して作られて使われたようです。
 第2位は、Funklochrepublik(電波圏外共和国)。
スマホが普及した現在でも、ドイツではかなりの地域で電波が届かず、圏外になってしまうところがあるとか。
すでに次世代のモバイル通信規格である 5G が議論される中で、そもそも全国のすみずみまで「各駅停車」のように一軒一軒電波が届く必要があるのかどうか、
議論されているとか。
 第3位は、Ankerzentren(アンカー・センター)。
Anker は、「錨(いかり)」という意味の単語でもあるのですが、ここでは頭字語。
Ankunft(到着), Entscheidung(決断), Rückführung(送還) を組み合わせて作られた語に、
中心地という意味のセンターの複数形を付けたものです。「アンカー・センター」は、難民の人たちが宿泊し、グループ分けされ、最終的には本国送還されてしまう場所を言うそうです。
 第4位は、Wir sind mehr.(私達の方が多くいる)という文。
ケムニッツ(Chemnitz)での外国人排斥集会に対抗して、多くの人々がこの「私達の方が多くいる」というスローガンを掲げてやってきたとのこと。
9月には、その数が6万5千人以上になったそうです。
 第5位は、strafbelobigt(罰を受けると思ったのに賞賛される)。
連邦憲法擁護庁(Bundesverfassungsschutz)の長官、
ハンス=ゲオルク・マーセン(Hans-Georg Maaßen)氏は、自分の立場を超えて何度も政治的立場を表明してしまったので、SPD
CDU の一部から解任の要求が出たにもかかわらず、気がついたら内務大臣のゼーホーファー(Seehofer)氏が、マーセン氏を擁護し、
内務次官に昇進させようとしたところから非難の嵐が生じ、作られた言葉。この件が大連立に大きな亀裂を引き起こしたようです。
 第6位は、Pflegeroboter(介護ロボット)。
近い将来、介護を必要とする人々や病人を誰が介護するのか、という問題を考えた時、「ペッパー」(Pepper) のような存在が仕事を引き受ける日が来るのではないか、
という議論。ヒト型ロボットのペッパー君は、ドイツでもそれなりに認知されているのでしょうか。
 第7位は、Diesel-Fahrverbot(ディーゼル車通行禁止)。
窒素酸化物の上限値をEUが定めたのですが、それを守るために、ドイツのいくつかの都市では、ディーゼル車通行禁止の措置が導入され始めています。
どうやって現在走っているディーゼル車の排気ガスをきれいにするか、というのは大きな問題です。
 第8位は、Handelskrieg(貿易戦争)。
ご存知、アメリカのトランプ大統領、アメリカのために、いろいろな国を相手に個別に自国に有利な貿易協定を結ぼうとしています。そんな中、特に中国との貿易戦争は熾烈を極め、
世界中の国々を巻き込む事態になっています。
 第9位は、Brexit-Chaos(ブレグジット大混乱)。
イギリスのEU離脱に向けての混乱は、現在も日々変化しています。イギリスのメイ首相は、EUとの交渉を終えて議会の説得をしようと努力。しかし、ご存知のように離脱恐慌はからは、
協定案が徹底的に批判されることになり、政府から強行派の人々が出ていく事態になりました。気がつくと、「ブレグジット賛成者」(Brexiteers)と「ブレグジット反対者」
(Bregretter) これは、Brexitregret から作られた)という言葉も使われ出しています。
 第10位は、die Mutter aller Probleme.(あらゆる問題の母)。
内務大臣のゼーホーファー氏が「移民」を指して使った言葉。キリスト教社会同盟(CSU)の政治家ですが、2018年の州議会選挙で CSU
は過半数を取れず、「ドイツのための選択肢」 (AfD) の台頭を意識してか、
難民に対して厳しい政策に舵を切ったように見えます。これがそもそも「あらゆる問題の母=生みの親」なのかもしれません。
  日本では、新語・流行語大賞 2018| 「現代用語の基礎知識」選 で、「そだねー」が選ばれていました。
一方で、2018年「今年の漢字」 | 公益財団法人 日本漢字能力検定 は、「災」だそうです。
確かにいろいろなことが起きた2018年でした。

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