マルクス・ガブリエル著『なぜ世界は存在しないのか』 1月刊行から1万5千部超の売れ行き
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ドイツで2013年に発売され話題となったマルクス・ガブリエル著『なぜ世界は存在しないのか』(Gabriel, Markus (2013) Warum es die Welt nicht gibt. Berlin: Ullstein) が日本語に翻訳され、2018年1月13日に発売になって以来、すでに日本でも1万5千部超の売れ行きとなっているそうです。3月13日付の朝日新聞に、哲学者・千葉雅也氏が寄稿しています。朝日新聞デジタルでも、哲学に現代の不安を託す 『なぜ世界は存在しないのか』に反響 寄稿、哲学者・千葉雅也
から読むことができます。以下にその第二パラグラフを引用しておきます。
フェイクニュースにまみれ、加速するグローバル経済に翻弄(ほんろう)されて不安定な生を送る現代人は、何か確実なものを求めている。一方で、科学だけでは何か足りないという漠然とした不安がある。科学は生活を劇的に便利にしたが、科学的分析の力によって我々はますます厳密に管理され、統治されるようになっている。他方で、宗教に頼るのでも足りない。宗教に基づく非合理的な情念は、深刻な対立を引き起こしてきた。おそらく現代人は、科学でも宗教でもない「別の真理の領域」を求めている。その候補が哲学なのだ。哲学に、この時代の不安を託そうとしているのである。
哲学に現代の不安を託す 『なぜ世界は存在しないのか』に反響 寄稿、哲学者:千葉雅也:朝日新聞<文化・文芸> 2018年3月13日
原著のペーパーバック版は、2015年に Ullstein Taschenbuch から、
Markus Gabriel (2015) Warum es die Welt nicht gibt.| Ullstein Verlag としても発売され、€ 12,00 [D] で入手可能です。
今回話題の翻訳は、
マルクス・ガブリエル (著) (2018) 清水 一浩 (訳) 『なぜ世界は存在しないのか』 (講談社選書メチエ)
です。今注目の的になりつつある若きボン大学の哲学者マルクス・ガブリエル
(Prof. Dr. Markus Gabriel — Institut für Philosophie)
の「新しい実在論」、あなたも読んでみませんか? 日本語で興味が湧いたら、ドイツ語でもチャレンジしてみましょう。