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„Anti-Abschiebe-Industrie“(反-国外追放-産業)が2018年の粗悪語に選ばれる(1/15)

„Anti-Abschiebe-Industrie“(反-国外追放-産業)が2018年の粗悪語に選ばれる(1/15)

2018年のドイツの粗悪語(Unwort)が、2019年1月15日に発表されました。
今回選ばれたのは、Anti-Abschiebe-Industrie (反-国外追放-産業) です。
これは、キリスト教社会同盟 (CSU) のアレクサンダー・ドーブリント氏 (Alexander Dobrindt) によって、2018年5月に使われた言葉です。
ドーブリント氏は、この言葉を使って<庇護を求めてやってくる難民の人たちを国外へ送り返す>のに<反する>行動をとっている人たちを非難したようです。
ドーブリント氏:「攻撃的な反-国外追放-産業によって、意識的に法治国家のさまざまな努力が妨害され、
さらに公の場が危険にさらされるようになることは受け入れられない。」
(„Es ist nicht akzeptabel, dass durch eine aggressive Anti-Abschiebe-Industrie bewusst die Bemühungen des Rechtsstaates sabotiert und eine weitere Gefährdung der Öffentlichkeit provoziert wird.“)
(出典:

Abschiebung: “Mit seinen Aussagen schwächt Herr Dobrindt den Rechtsstaat” | ZEIT ONLINE
)。
ドイツ弁護士連盟(Deutscher Anwaltverein)は、ドーブリント氏が(逆にこのような発言で)
法治国家を衰弱させていると非難したそうです(出典:同上)。
そもそも、「反-国外追放-産業)」などという産業はないのですが、産業という言葉を使うことで、暗に<難民有資格者を産出している産業>があるかのような印象を与えているのも問題視されました。
どうやらアレクサンダー・ドーブリント氏は、この他にも数々の問題発言をしているようです。
 ドイツの粗悪語に関する今回の発表の詳細は、
Aktuelles / Presse | www.unwortdesjahres.net および、
Pressemitteilung: Wahl des 28. „Unworts des Jahres“(PDF) をご覧ください。
 例年のことですが、粗悪語は一般に公募されて収集されますが、選定委員会は応募総数とは関係なく、議論をしてその年の粗悪語を決定します。
今回は、全体で 902件の投票、508種類の提案があり、この Anti-Abschiebe-Industrie(反-国外追放-産業) には10件の投票があったそうです。
 選定委員が同様に粗悪語として取りあげたのは、Menschenrechtsfundamentalismus(人権原理主義)と
Ankerzentrum(アンカー・センター)です。
「人権原理主義」は、テュービンゲン市長(Oberbürgermeister von TÜbingen)のボーリス・パルマー氏(Boris Palmer)
によって使われたシニカルな言葉で、「原理主義」という悪いコノテーションを持つ語を、「人権」という基本的に尊重されねばならない語と合成したという粗悪語です。
Anker(錨(いかり))は、「船を留めておく時に使われるもの」ですが、本来「支えとなるもの」として肯定的な意味で使われます。
Ankerzentrum の中の Anker は、Ankunft, Entscheidung, kommunale Verteilung bzw. Rückführung
(到着、決断、市町村への割り当て、あるいは送還)の頭文字をとってAnKER と書かれていたものが、大文字小文字の区別が失くなって使われてしまった、
というものです。普通名詞のように書かれた単語の持つ見かけとは違い、その実態は「難民センター」のようです。

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